慈光寺
2018年11月3日
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埼玉県で最古の寺。国保や重要文化財を数多く収蔵している。一番奥で高いところにある観音堂は坂東観音巡礼第九番札所となっている。開山は道忠であり、今も残る開山塔は道忠のために建てられたものだという。鎌倉時代には源頼朝や畠山重忠をはじめとする武蔵武士からの信仰が篤く、頼朝から奥州征伐祈願のため、愛染明王像が奉納されるなど、頼朝との関係の深さを『吾妻鏡』は伝えている。 慈光寺には優れた寺宝も多い。後鳥羽天皇や宜秋門院、九条兼実など、九条家ゆかりの人々による法華経一品経(国宝)をはじめ、金銅密教法具や銅鐘(いずれも国指定重要文化財)、宝冠阿弥陀如来坐像、聖僧文殊菩薩坐像(いずれも県指定文化財)など数々の中世の寺宝を所蔵している。 また、慈光寺へ向かう参道、仁王門跡とされる場所には九基の大型板碑が整然と並ぶ。慈光寺が隆盛を誇った中世には、山内に多くの僧坊を擁し、修行憎が集うI大修行道場となっていた。今も周辺の山中には、僧坊跡と思われる人工の平坦地がいくつも確認され、瓦や陶磁器片などが採集されている。(歴史ロマンの旅・学陽書房より)